抄録
【目的】介護老人保健施設(以下,老健)の看護職者がターミナルケアを実践するうえでの困難さの構造を明らかにすることを目的とした。
【方法】①対象:O県内6施設の看護管理者と看護師各1名,②期間:2015年2月~5月,③分析:半構造化面接(約1時間)で得たデータを,質的統合法(KJ法)により分析した。
【結果】〈医療処置の限界と麻薬使用への不安〉〈状態変化や胃瘻造設の判断のむずかしさ〉〈多床室における生と死の共存のむずかしさ〉〈介護職員の不安と職員の労働負担感の見極めのむずかしさ〉〈後悔しないターミナルケアを家族とともに築くむずかしさ〉〈多職種間での協議と経験の積み重ねによるターミナルケアの質の担保〉〈やりがいや喜びにつながるその人らしい自然な看取り〉で構成された。
【考察】老健の看護職者は,困難さがありながらもさらによりよいターミナルケアの構築に取り組む構造が明らかとなり,多職種間での協議や経験を積み重ねていく重要性が示唆された。