抄録
本研究の目的は中高年期にある人々の認知症への態度と知識および予防行動の実態を明らかにするとともに認知症予防行動の関連要因を検討することである。40~64歳971名を対象に自記式質問紙調査を実施し有効回答の得られた299名を分析対象とした。結果,約7割が認知症予防行動に関心をもつ一方で実行している者は2割であった。認知症に関する知識の関連要因を検討した結果,知識が高いほど関心や罹患性の認識が高く,認知症の人への態度が肯定的であった。多変量解析の結果,年齢が50歳代であること,Breslowの健康習慣得点が高いこと,認知症予防行動への関心および知識があること,認知症の人への態度が肯定的であることが認知症予防行動実行に有意な関連を示した。そこで,中高年期でもとくに40歳代を中心とした世代に対する支援の必要性と,知識の普及により認知症への態度を肯定的にすることで予防行動につながる可能性が示唆された。