抄録
研究目的は,小児病棟看護師が急変場面で抱く不安の意味内容を明らかにすることである。小児病棟看護師20名を対象に半構成的面接を行い,面接内容を質的に解釈して,不安の意味内容を抽象化し,コアカテゴリーを見出すとともに,関係性を概念図に表した。
結果,小児病棟看護師が抱く急変対応に関する不安のコアカテゴリーは「急変時の実践能力不足による心配や動揺」「患児・家族の状態の経過から認識された危惧や動揺」「不利な環境条件とその対応への心配や困難感」の3つであった。これらは,急変時の患児の状態には,予期,直面,対応時,対応後と時間の経過があり,経過に応じた看護実践に伴う不安がある。また,急変に対応するためには,知識,技術のみならず,経験に基づく臨床判断が必要であり,これらが不足することで生じる不安と,人的・物的に必要な資源を満たしていないことにより生じてくる不安から影響を受けることが解釈された。