日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会雑誌
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症例報告
グラム陰性菌や真菌の関与が示唆された加湿器肺の1例
妹川 史朗西本 幸司鈴木 清一郎上原 正裕池田 政輝匂坂 伸也佐藤 潤内山 啓安田 和雅中村 祐太郎須田 隆文千田 金吾
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2011 年 31 巻 1 号 p. 41-46

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抄録

症例は58歳,女性.約2週間持続する発熱,咳嗽,労作時呼吸困難を主訴に当科を受診した.胸部CT上両側肺野にすりガラス状陰影と浸潤影を認め,間質性肺炎が疑われた.軽度の炎症所見と低酸素血症がみられ,BAL(右B5a)ではリンパ球分画21.0%と軽度上昇していた.VATSの組織で胞隔炎と気腔内器質化の所見を認め,入院後自然軽快傾向を示した.加湿器を使用した誘発試験で自覚症状,炎症所見の悪化,血ガス所見,呼吸機能の悪化を認め,加湿器肺と診断した.加湿器の水に対するリンパ球幼弱化試験は陽性であった.沈降抗体はCandida albicansが陽性,加湿器の水のβ-Dグルカンが上昇していた.また,加湿器の水でグラム陰性菌が培養され,エンドトキシンも検出(72.5 pg/mL)されたことから,真菌やグラム陰性菌が本症の発症に関与していたことが示唆された.

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© 2011 日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会
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