日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会雑誌
Online ISSN : 1884-6114
Print ISSN : 1883-1273
最新号
選択された号の論文の16件中1~16を表示しています
追悼文
グランニュローマ -サルコイドーシス研究を支えた人々-
学会受賞記念講演
  • 乾 直輝
    2017 年 37 巻 1_2 号 p. 15-18
    発行日: 2017/10/25
    公開日: 2018/03/09
    ジャーナル フリー

    サルコイドーシスは多様性に富んだ疾患である.病態解明の一助とすべく行った3検討について解説する.(1)サルコイドーシス患者の肺胞マクロファージでは1α水酸化酵素遺伝子の発現が亢進し,サルコイドーシスにおけるカルシウム代謝異常と疾患活動性に関連していた.(2)肺サルコイドーシス患者では抗血管内皮抗体の発現が増強し,抗体価は多臓器に病変を持つ患者でより高値であった.経過中にステロイド投与を必要とした症例では診断時の抗血管内皮抗体価が高値であった.(3)診断時にステロイド治療を必要としない症例の累積増悪発生率は5年で15%,10年で28%,15年で31%であり,診断時の臓器病変数は増悪の予測因子であった.新規病変の出現は,診断後1年で2%,5年で9%,10年で15%で,心臓と皮膚病変が多かった.

総説
  • 安藤 正幸
    2017 年 37 巻 1_2 号 p. 19-24
    発行日: 2017/10/25
    公開日: 2018/03/09
    ジャーナル フリー

    著者らは,わが国に特有な夏型過敏性肺炎(SHP)の原因が不完全菌類の一種であるTrichosporon cutaneumであることを発見したが,その発見動機となった原因抗原探究の方法論ならびにその方法を用いて得られた成績について紹介した.SHPはT. cutaneumに対するⅢ型ならびにⅣ型アレルギー反応で起こることから,T. cutaneum多糖体の構造解析を行いglucuronoxylomannanであることを明らかにするとともに交叉反応を示すCryptococcus neoformans抗原の構造との異同についても述べた.更に,T. cutaneumがなぜSHPの原因となり得るのか,その理由について述べると共に,分子生物学的手法を用いたT. cutaneum属の新たな分類,喀痰・気管支肺胞洗浄液ならびに患者発症環境の室内気からのDNA検索法に関する研究成果についても紹介した.また,SHP診断キット(トリコ・アサヒAbチェック)を開発し,保険診療収載検査法として世に出したことも紹介した.本研究を通して著者が学んだこと,すなわち『夢に生きる』,『患者に学ぶ』,『継承的創業』の大切さについて述べた.

  • 雜喉 正泰
    2017 年 37 巻 1_2 号 p. 25-30
    発行日: 2017/10/25
    公開日: 2018/03/09
    ジャーナル フリー

    完全ヒト型抗ヒトTNF-αモノクローナル抗体製剤であるアダリムマブが,サルコイドーシスによる中間部,後部または汎ぶどう膜炎の治療に保険適用で使用が可能となった.最初にサルコイドーシスに関連する眼の生理と病態について述べ,次にサルコイドーシスによるぶどう膜炎に対する従来の治療,アダリムマブの効果,パラドキシカル(逆説的)な副作用についてまとめた.当施設での治療経験を交え,サルコイドーシスによるぶどう膜炎に対するアダリムマブ治療について私見を述べた.従来の治療薬である副腎皮質ステロイドや免疫抑制剤を適切に使用しても,不可逆性の視機能障害が予想される症例では,副作用に注意をしながらのアダリムマブの早期導入が良い選択肢となり得る.

  • 山本 俊幸
    2017 年 37 巻 1_2 号 p. 31-34
    発行日: 2017/10/25
    公開日: 2018/03/09
    ジャーナル フリー

    外的な物理的刺激を受ける部位や陳旧性の外傷瘢痕部位に一致して皮膚サルコイド病変がしばしばみられ,これをKöbner(ケブネル)現象と呼ぶ.Köbner現象がみられる代表的な皮膚疾患は乾癬で,乾癬を発症した患者に機械的な刺激が加わるとそこに新しく乾癬の皮疹が誘発されるといったケースが最も一般的であるが,以前からあった旧い傷跡に一致して乾癬病変が生じてくることもある.サルコイドーシスにみられるKöbner現象の例を挙げると,メガネの鼻パッドや靴の当たる部位,静脈穿刺部位,旧い外傷瘢痕や熱傷瘢痕部位,BCGや予防接種部位,刺青,あるいは帯状疱疹の罹患部位,などに一致して皮膚サルコイドがみられることがある.また,本邦人に頻度の高いとされる膝の瘢痕浸潤もKöbner現象と考えられる.皮膚以外の臓器でも,絶えず運動をしている肺や心臓にサルコイド病変が誘発されることをinternal Köbner現象とする考えもある.本稿では,皮膚サルコイドにおけるKöbner現象について概説した.

症例報告
  • 三雲 大功, 濵田 直樹, 柳原 豊史, 原田 英治, 有村 雅子, 緒方 彩子, 福山 聡, 伊地知 佳世, 大石 善丈, 小田 義直, ...
    2017 年 37 巻 1_2 号 p. 35-38
    発行日: 2017/10/25
    公開日: 2018/03/09
    ジャーナル フリー

    症例は65歳女性.2 ヶ月前より霧視を自覚し近医受診.クオンティフェロン-TB®検査陽性であり結核性ぶどう膜炎疑いにて当院眼科紹介.ACE上昇を認めサルコイドーシス(サ症)も疑われ当科紹介.胸部CTにて縦隔,右鎖骨上窩にリンパ節腫大,FDG-PETにて同部位に高集積を認めた.肺野に異常所見を認めなかった.BALにてリンパ球分画の上昇,CD4/CD8比高値を認めた.右上下葉からの経気管支肺生検(TBLB)と超音波気管支鏡下経気管支肺生検(EBUS-TBNA)にて非乾酪性類上皮細胞肉芽腫を認め,Ziehl-Neelsen染色,結核菌PCR陰性であった.以上よりサ症組織診断群(肺)と診断したが,後にEBUS-TBNA検体組織培養にて結核菌が検出された.当症例はACE上昇,BAL中のリンパ球分画とCD4/CD8比上昇,TBLB所見よりサ症組織診断群の診断基準を満たすが,リンパ節は結核性リンパ節炎の合併と考えられる.サ症と結核性リンパ節炎を同時に診断した例は稀であり,EBUS-TBNA検体の抗酸菌培養の重要性が示唆される症例と考えられた.

  • 冨岡 洋海, 金田 俊彦, 金子 正博, 勝山 栄治, 江石 義信
    2017 年 37 巻 1_2 号 p. 39-45
    発行日: 2017/10/25
    公開日: 2018/03/09
    ジャーナル フリー

    症例は68歳,男性.当科初診約3年前に胸部聴診所見,胸部画像所見で間質性肺炎の所見を認めていた.その後,咳嗽,労作時息切れが出現し,さらに,近医眼科でブドウ膜炎と診断され,当科を紹介受診した.KL-6 1331 U/mL,ACE 31.0 U/Lと高値を示し,胸部CTでUIPパターンの間質性陰影と縦隔・両側肺門リンパ節の腫大を認めた.縦隔リンパ節生検では非乾酪性類上皮細胞肉芽腫を認め,さらにPropionibacterium acnes特異的モノクローナル抗体(PAB抗体)による免疫組織学的検討で陽性所見を得た.外科的肺生検では組織学的にUIPパターンを呈し,肉芽腫や多核巨細胞,また,PAB抗体陽性所見も認められなかった.ステロイド治療にも線維化が進行し,急性増悪もきたし,初診から約4年半の経過で呼吸不全死した.本例は,特発性肺線維症とサルコイドーシスの合併例と考えられた.

  • 川口 健太郎, 秦 雄介, 河瀬 成穂, 堀田 尚克, 塩田 雄太郎
    2017 年 37 巻 1_2 号 p. 47-50
    発行日: 2017/10/25
    公開日: 2018/03/09
    ジャーナル フリー

    72歳女性が発熱を主訴として入院し,入院後の単純CTで全身リンパ節の腫大を認めた.腫大したリンパ節には18F fluorodeoxy glucose-positron emission tomography-CTで取り込みを認めた.取り込みを認めた右鎖骨上窩リンパ節を生検し,組織球性壊死性リンパ節炎と病理診断した.ステロイドを投与し,発熱,リンパ節の腫脹などの症状は改善した.18F fluorodeoxy glucose-positron emission tomography-CTは病変の範囲の推定,生検リンパ節の選択に有用であった.

  • 杉野 圭史, 仲村 泰彦, 鏑木 教平, 佐野 剛, 磯部 和順, 坂本 晋, 高井 雄二郎, 奈良 和彦, 渋谷 和俊, 本間 栄
    2017 年 37 巻 1_2 号 p. 51-55
    発行日: 2017/10/25
    公開日: 2018/03/09
    ジャーナル フリー

    症例は36歳女性.主訴は乾性咳嗽,労作時息切れ.X-8年頃より左下腿腓骨部に皮下腫瘤を自覚したが放置.X-4年8月に顔面神経麻痺,右眼瞳孔散大が出現し,PSL 40 mg内服により約1 ヶ月で治癒.その後,原因不明の頭痛,難聴,嗅覚異常が出現.X-2年11月頃より乾性咳嗽および軽度の労作時息切れが出現.X-1年4月の健康診断にて胸部異常陰影を指摘され全身精査の結果,全身性サルコイドーシス(肺,副鼻腔,神経,皮膚,肝臓)と診断された.挙児希望およびステロイド恐怖症のため,吸入ステロイドを約1年間使用したが,自覚症状の改善は得られず中止.当科紹介後にご本人の希望で漢方薬(人参養栄湯7.5 g/日,桂枝茯苓丸加薏苡仁9 g/日)を開始したところ,開始4 ヶ月後より咳嗽および労作時の息切れはほぼ消失,開始6 ヶ月後には,胸部画像所見,呼吸機能検査所見の改善を認めた.その後も本治療を継続し,現在まで3年間にわたり病状は安定しており,再燃は認めていない.

YIA2016報告
feedback
Top