日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会雑誌
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症例報告
球麻痺にて発症した筋萎縮性側索硬化症にサルコイドーシスを合併した1例
久保田 昭洋伊崎 祥子王子 聡三井 隆男野村 恭一伊崎 誠一
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2013 年 33 巻 1 号 p. 147-150

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抄録

症例は75歳男性である.入院2年前から嚥下障害,構音障害が出現し,緩徐に進行した.当科来院時は,舌の線維束性収縮,上肢の近位筋の軽度の萎縮を認めた.筋萎縮性側索硬化症(ALS)が疑われたが診断には至らなかった.精査にて胸部CTとPETにて両側肺門部に腫瘤を認め,また血液検査にてProGRPの上昇も認めたため,肺癌が疑われた.経気管支肺生検を施行したところ,非乾酪性肉芽腫を認め肺サルコイドーシスの診断に至った.ここで球麻痺症状が神経サルコイドーシスによるものであることを疑い,経口副腎皮質ステロイドホルモン薬(ステロイド)療法を施行したが,無効であった.経過中神経症状の進行もあり,再度針筋電図を施行したところ,複数の筋にて下位運動ニューロン障害所見を認め臨床所見と合わせALSの診断に至った.本症例はALSにサルコイドーシスを合併したと判断した.神経サルコイドーシスとALSの両疾患は,発症頻度は非常に低いがごく稀に合併する可能性があり,両疾患を考慮する必要があると思われた.

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© 2013 日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会
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