日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会雑誌
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サルコイドーシスの皮膚病変と外用治療
岡本 祐之
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2015 年 35 巻 Suppl1 号 p. 48

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抄録

サルコイドーシスの皮膚病変は多彩であり、福代の分類による四大病型とその他の皮膚病型をみても数多くの症状があることが理解される。さらに、分類に当てはまらない非典型的皮疹も時に経験される。サルコイドーシスの診断には組織学的所見が重要であり、皮膚は生検しやすい臓器であることから、的確に皮膚病変を発見し病理検査を行えるように、典型的皮膚病変を理解し、小さな病変を見逃さないことが肝要である。皮膚科に直接来院するサルコイドーシス患者の主訴は整容的問題であることから、顔面にみられる皮疹や広範囲に生じた皮疹であることが多い。そのため、顔面に好発する結節型病変や局面型病変、あるいは体幹、四肢に多発する局面型病変や苔癬様皮疹などが代表的病変である。また、皮下にあって病気の性格が把握しにくい皮下型病変も、皮膚生検で肉芽腫が観察され、その後の全身検索でサルコイドーシスと診断される症例としてよく経験される。一方、皮膚科以外でサルコイドーシスと診断され紹介を受ける症例では、患者自身が皮膚病変に気づいていないことが多く、目立った症状よりも、むしろ小さな病変や気にかけていない身体部位に発症する病変の方が多い。そのため、サルコイドーシスの皮膚病変の診断には、より丁寧な皮膚科診察が求められる。皮膚病変の治療は副腎皮質ホルモン薬やタクロリムスの外用治療をまず行う。近年、ジェネリック医薬品の普及により、主成分が同一の外用薬が盛んに使用され推奨されている。しかし、内服薬と異なり外用薬は主成分のみならず基剤も治療効果に重要であるが、先発医薬品とジェネリック医薬品では基剤が異なるために、副腎皮質ホルモン薬やタクロリムスの基剤中の濃度が異なっていることが報告されている。そのため、同一主成分の外用薬でも同じ臨床効果を得られないことがある。また、行うことに賛否両論はあるが、主成分の副作用を軽減したりコンプライアンスを高めるために、抗炎症外用薬と保湿剤とを混合することがある。しかし、ジェネリック医薬品では、両薬剤を混合することによって主成分の安定性や皮膚透過性がどのように影響されるかについてのデータはほとんどないのが現状である。サルコイドーシス患者の皮膚病変に対してジェネリック外用薬を用いる場合、以上のことを認識して治療効果を評価すべきである。本セミナーでは、サルコイドーシスの皮膚病変と治療の主体である外用治療の基本について述べたい。

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© 2015 日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会
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