2020 年 40 巻 1_2 号 p. 29-34
症例は,64歳男性.X年Y月中旬から乾性咳嗽と労作時呼吸困難を自覚し,近医を受診した.肺炎として抗菌薬による治 療を受けたが呼吸困難は悪化し,Y+1月初旬に当科を紹介受診した.胸部CT画像で右下葉の浸潤影および周囲の小葉間隔 壁の肥厚,縦隔・両側肺門リンパ節腫大がみられ,FDG-PETでは同部位への集積を指摘された.また,悪性疾患を疑い施 行された頭部MRIでは下垂体の腫大がみられた.確定診断のために行った縦隔リンパ節生検とCTガイド下生検では,非乾 酪性類上皮細胞肉芽腫を認め,可溶性IL-2受容体およびリゾチームの上昇,3系統の下垂体ホルモンの低下を認め,汎下垂 体機能低下症を伴うサルコイドーシスと診断した.入院後,症状および胸部画像所見の改善傾向を認め,無治療で下垂体機 能も含めた臨床所見は改善した.短期間で自然軽快を示した汎下垂体機能低下症を伴うサルコイドーシスを経験したので報 告する.