2024 年 44 巻 1_2 号 p. 85-89
症例は36歳男性.数ヵ月前より発熱,倦怠感,視力低下を自覚した.両側ブドウ膜炎と縦隔リンパ節腫大を認め,経気管支針生検施行しサルコイドーシスの確定診断を得た.強い倦怠感があり,原因検索を行ったところ続発性副腎皮質機能低下と中枢性甲状腺機能低下を認めた.頭部MRIでは視床下部から下垂体に結節を認め,サルコイド結節による視床下部下垂体不全と考え,下垂体機能に関する各種内分泌負荷試験を施行した.経過中,急速な視力低下の進行があり視神経炎を呈したためステロイドパルス療法を開始すると,治療開始前は認めなかった尿崩症症状が顕在化した.下垂体前葉不全を合併していたことによる仮面尿崩症の病態であったと考えられた.神経サルコイドーシスの中で仮面尿崩症の病態をとることはまれであり,示唆に富む症例と考えられた.