2016 年 22 巻 2 号 p. 59-67
口腔扁平苔癬(OLP)治療に対するCepharanthine長期投与の効果等について,参加12施設における後方視的臨床研究を行った。対象は2008年7月より2013年6月までにCepharanthineを4週以上投与されたOLP患者80例であった。治療4週後,6か月後,投与終了時の重症度,改善度,副作用の有無について検討した。ほぼ全ての臨床診断型および病変部位においてCepharanthine投与により50%以上の改善率が認められた。投与期間による改善率は,投与終了後が最も高く,長期投与により改善率は有意に向上した。一方,投与量による改善率に有意差はなかった。また,Cepharanthineとステロイド剤の併用の有無による改善率に有意差はなかった。投与終了時の有用度はやや有用以上で80%であり,重度な副作用はなく安全性が認められた。以上より,CepharanthineはOLPの治療に有用であることが示唆された。