日本口腔内科学会雑誌
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原著
  • 山本 亜紀, 神部 芳則, 柏崎 明子, 森 良之, 野口 忠秀, 小宮根 真弓, 出光 俊郎
    2023 年 29 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/30
    ジャーナル フリー
    白色海綿状母斑(white sponge nevus;以下,WSN)は粘膜に生じる白色病変のひとつで,その表面が特徴的な海綿状を呈し,粘膜の表面を擦過すると上皮の一部が剥離してくるのが大きな特徴である。
    今回われわれは家族性WSN 2例ならびに非家族性WSN 5例を対象に,透過型電子顕微鏡を用いて細胞の接着構造に関して微細構造の変化を検討した。その結果,全ての症例で細胞間隙の拡大を認め,アタッチメントプラークに付着するケラチン線維束の減少がみられた。また,デスモゾームの変形や剥離像を認めた。このことからデスモゾームを介した細胞間の接着障害が,擦過で生じる病変部の剥離の原因となっている可能性が示された。さらにデスモゾームを介した細胞間隙の拡大は家族性WSN,非家族性WSNに共通した病態と考えられた。
症例報告
  • 山本 大介, 高倉 裕明, 大原 早紀子, 目瀬 浩
    2023 年 29 巻 1 号 p. 7-12
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/30
    ジャーナル フリー
    免疫抑制状態にある患者において,ガス壊疽は急激に進行し死に至ることもある。今回われわれは,関節リウマチ(RA)に対してプレドニゾロンおよびトシリズマブの投与を受けている78歳の女性に生じ,感染が急速に拡大したガス壊疽の1例を経験したので報告する。患者は,抜歯後3日目に路上で倒れているところを発見され当院へ救急搬送された。左側顎下部から前頸部に著明な発赤と腫脹および悪臭を認めた。患者はRAに対してプレドニゾロンならびにトシリズマブを定期投与中であり,易感染性状態であったために感染が急速に拡大したと考えられた。集中治療室入室後に救急科をはじめ関連各診療科と治療し全身麻酔下にデブリードマンを施行した。60病日目にリハビリテーション目的に転院となった。
  • 片岡 利之
    2023 年 29 巻 1 号 p. 13-17
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/30
    ジャーナル フリー
    症例は66歳女性。下顎部の腫れによる呼吸苦を1か月以上自覚し来院した。初診時顔貌所見では,熱感と疼痛を伴わないオトガイ下のびまん性腫脹がみられ,口底粘膜は浮腫により二重舌を呈していた。オルソパノラマX線写真,頸部エコー検査,CT検査で腫瘍性病変は否定的であった。血液検査では好酸球数1,380/ulでありアレルギー性反応が疑われた。抗アレルギー薬を投与するも臨床症状に改善が見られなかったため内科受診を勧めた。内科では好酸球数2,157/ul,骨髄検査で白血病は否定的であり,特発性好酸球増加症候群と診断された。ステロイド療法により速やかに好酸球数は減少した。好酸球増多は長期間持続すると臓器障害をきたすことがある。本症例は口腔・頸部腫脹疾患の鑑別診断として念頭に置く必要があると思われた。
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