日本口腔内科学会雑誌
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原著
シェーグレン症候群患者におけるM3型ムスカリン受容体アゴニスト長期投与による治療効果の検討
坂本 瑞樹森山 雅文清水 真弓前原 隆緒方 謙一石黒 乃理子鎮守 晃太田 美穂中村 誠司
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2020 年 26 巻 2 号 p. 77-83

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抄録

シェーグレン症候群(SS)患者におけるM3Rアゴニストの長期的な唾液分泌促進効果を明らかにするために,当科にて8年以上経過をみたSS患者62例を対象として唾液分泌量の経時的変化,および臨床所見と治療効果との関連について検討を行った。
内服継続した症例では服開始半年までは有意な唾液分泌量の増加を認め,8年経過しても唾液分泌量は治療開始前に比べ減少せず,維持されていた。一方,内服しなかった症例では7年経過以降に有意な減少を認めた。さらに多変量解析の結果,初診時唾液分泌量1g/2min以上あるいは耳下腺超音波検査での組織異常が顕著でない症例で治療効果(唾液分泌量の増加率)が有意に認められた。
以上より,M3Rアゴニストの長期内服により唾液分泌量は8年経過後も維持され,特に病態初期と考えられる症例では唾液分泌量の増加が顕著であったことから,M3Rアゴニストの早期内服と継続が重要であることが示唆された。

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