抄録
慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease : COPD)は、タバコなどの有害物質を長期に吸い込むことによって、気管支や肺などに炎症をきたし、除々に生じる体動時の呼吸困難や慢性の咳、痰を特徴とする疾患であり、喫煙習慣を背景に中高年に発症する生活習慣病と言われている。厚生労働省の調査によると、平成20年(2008年)のCOPD患者数は173千人で、65歳以上あるいは75歳以上の高齢者が約80%を占めている。
呼吸困難などの結果、筋萎縮や筋力低下、持久力低下などの身体機能の失調・低下(ディコンディショニング)につながり、さらに呼吸困難を増大させるという悪循環のスパイラルに陥り、日常生活活動(activities of daily living : ADL)や職業などの社会生活(quality of life : QOL)に支障をきたすこととなる。
COPDのリハビリテーションの主な目的は、①機能障害の改善に努め、機能的能力を高める、②原疾患の増悪を防ぐ、③ADLの改善、具体的には食事、排泄、清潔運動などの日常基本的な生活動作を拡大する、④社会復帰や職業生活ができるまでの向上、改善に努める、生活の質(QOL)を向上させる、⑤呼吸器疾患罹患により生じた精神的な問題についてカウンセリングを行うなどであり、呼吸困難から生じる悪循環のスパイラルを断ち切ることである。
具体的なリハビリテーションとして、軽症の患者では全身の筋力や持久力を高めるために、やや高負荷の訓練を、逆に重症例では口すぼめ呼吸や横隔膜呼吸の練習、頚部、胸郭のストレッチ、体位排痰などのコンディショニングに重きを置いた訓練から実施する。なお、日本呼吸器学会において、全身持久力トレーニング、筋力トレーニング、コンディショニングおよびADLトレーニングは有用であるとしている。