日本ペインクリニック学会誌
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症例
高用量フェンタニルパッチによりがん性疼痛が軽減した1症例
松崎 孝西江 宏行森松 博史石川 慎一佐藤 健治溝渕 知司中塚 秀輝松三 昌樹横山 正尚森田 潔
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2008 年 15 巻 2 号 p. 150-152

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抄録
がん性疼痛の軽減にフェンタニルパッチの高用量が必要であった症例を報告する.56歳の男性で,直腸癌による肛門部から仙骨部に持続的な疼痛があった.モルヒネ徐放薬150 mg/日とフェンタニルパッチ2.5 mgを使用していたが,疼痛管理が困難であったので,ペインセンターへ紹介となった.副作用の便秘が強く,フェンタニルパッチ単独に変更し,リドカインの全身投与,アミトリプチリンの内服を併用した.しかし,疼痛は軽減しなかったので,くも膜下フェノールブロックや持続硬膜外ブロックを行い,疼痛は一時的には軽減した.その後,腫瘍が増大し,痛みが増強したので,フェンタニルパッチを65 mgまで増量し,疼痛は軽減した.疼痛管理開始から7カ月後に永眠したが,意識障害や呼吸抑制はなかった.治療中にフェンタニルパッチの20 mg,50 mg,65 mgを使用していた時のフェンタニルの血中濃度は,それぞれ,9.8,21.6,22.0 ng/mlと高値であった.いずれの時期も呼吸抑制,意識障害はなかった.
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© 2008 一般社団法人 日本ペインクリニック学会
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