日本ペインクリニック学会誌
Online ISSN : 1884-1791
Print ISSN : 1340-4903
ISSN-L : 1340-4903
症例
末期癌患者の在宅における肋間神経高周波熱凝固による痛み管理の経験
白澤 円安藤 智子福内 清史中川 美里比嘉 正祐
著者情報
ジャーナル フリー

2012 年 19 巻 2 号 p. 107-110

詳細
抄録

外来通院から在宅緩和ケアに移行した末期癌患者で,高周波熱凝固により,オピオイドを増量することなく痛みを管理し得た症例を経験したので報告する.46歳の男性.腰背部痛,下肢脱力を自覚し,精査で膵臓癌Stage IV,多発骨転移と診断されオピオイドが導入されたが,痛み管理不良で当院を受診し,オピオイド増量,硬膜外ブロック,肋間神経ブロックを行った.病状進行に伴い,脊髄損傷,胸水貯留,肺炎,呼吸不全で入院したが,在宅死を熱望,在宅酸素を導入して退院し,在宅緩和ケアに移行した.フェンタニル貼付剤で安静時痛は管理できたが,体動時痛が強く,傾眠で増量は困難であった.在宅で第6,7肋間神経高周波熱凝固,入院して第7胸神経根高周波熱凝固を行い,フェンタニル貼付剤が半減でき,傾眠が改善した.その後,痛みの増悪に伴い,在宅で第 3,4肋間神経高周波熱凝固を施行することで,オピオイドを増量せず,最後まで自宅で仕事を続けたいとの希望に沿った在宅療養が可能であった.骨転移による体動時痛は,薬物療法で管理困難なことが多いが,神経ブロックは有用な場合があり,在宅緩和ケアにおいて用いることで,診療の質を上げる可能性がある.

著者関連情報
© 2012 一般社団法人 日本ペインクリニック学会
前の記事 次の記事
feedback
Top