日本ペインクリニック学会誌
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症例
脊髄くも膜下腔カテーテルポートを留置後に髄液漏からカテーテル感染を生じた1例
原田 紳介太田 周平小川 賢一新堀 博展寺田 祥子後藤 隆久
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2012 年 19 巻 4 号 p. 508-511

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抄録
くも膜下鎮痛法に合併した遅発性髄液漏により皮膚障害を生じ,カテーテル感染に至った1例を報告する.57歳の男性.直腸がん術後再発による左下肢痛に対し,くも膜下鎮痛法を行った.硬膜外腔カテーテルポートを代用し,硬膜外針で硬膜を穿刺後,カテーテルをくも膜下腔に留置した.良好な鎮痛が得られたが留置8週間後に髄液漏で皮膚障害を生じ,9週間後,経皮的にカテーテルが感染し抜去した.現在,髄液漏に対する確立された治療法はないが,本症例では感染を防ぐために入院下でより積極的な髄液漏対策を行うべきだった.また,髄液漏のリスクを最小に抑える専用デバイスの開発が,感染リスクの軽減に必要である.
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© 2012 一般社団法人 日本ペインクリニック学会
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