日本ペインクリニック学会誌
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症例
臀部へ脊髄刺激装置を植え込み,痛みの管理を行った脊椎術後症候群の1症例
長尾 嘉晃柳本 富士雄大杉 聡宏藤井 あかり二木 美由希村川 和重
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2012 年 19 巻 4 号 p. 540-543

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抄録

本邦における脊髄刺激発生装置(IPG)は腹部に植え込むのが一般的である.臀部へのIPG植え込みは,手術の侵襲度,患者のQOL,美容の点から優れており欧米では積極的に適応されている.しかし日本人の臀部は小さく,坐骨高も低く解剖学的な観点より適さない方法と考えられていた.今回,2010年に本邦での適応が認められた世界最小のIPGであるEon MiniTMを臀部に植え込み,脊髄刺激療法による痛みの管理を行った症例を経験したので報告する.症例は41歳女性で10年前に腰椎椎間板ヘルニアの手術を行い,その後痛みが再燃したため神経ブロックや薬物療法による治療を行ったが,鎮痛効果が乏しく脊髄刺激療法を適応することとなった.既婚者で挙児希望であり,美容面も考慮して,腹部への植え込みを回避し臀部へのIPG植え込みを行った.10カ月経過した現在も,臀部の植え込み部の違和感なく高い鎮痛効果を認めている.高性能で小さなIPGの出現により,日本人においても臀部へのIPG植え込みによる脊髄刺激療法を積極的に行うことが可能となった.

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© 2012 一般社団法人 日本ペインクリニック学会
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