日本ペインクリニック学会誌
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症例
三叉神経節に対する三叉神経痛の治療後に発症した有痛性感覚脱失3症例の治療経験
若泉 謙太樋田 久美子米川 裕子豊川 秀樹上島 賢哉安部 洋一郎
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2014 年 21 巻 1 号 p. 31-34

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抄録

三叉神経節に対する三叉神経痛の治療後に有痛性感覚脱失(anesthesia dolorosa)を発症した3症例を経験したので報告する.症例1は71歳,女性.2年前に他院で三叉神経節バルーン圧迫術を行われた.右三叉神経領域の感覚は消失していたが,右顔面全域でしびれを伴う痛みがあり,視覚的評価尺度(visual analog scale:VAS)で82 mmの持続痛であった.アミトリプチリンで痛みは軽減した.症例2は72歳,女性.1年前に他院で微小血管減圧術を行われた.左三叉神経領域の感覚は消失していたが,手術直後から眼窩の異常感覚があり,VASで50 mmの持続痛であった.アミトリプチリンで痛みは軽減した.症例3は62歳,女性.1年前に他院でアルコールによる三叉神経節ブロックを行われた.左三叉神経領域の感覚は消失していたが,VASで50 mmの持続痛があった.アミトリプチリンは副作用のため効果を判定できなかったがプレガバリンで痛みは軽減した.顔面の有痛性感覚脱失は,三叉神経節に対する三叉神経痛の治療後に低確率で発症する.一般に難治性の痛みであるが,3症例とも痛みを軽減することができた.

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© 2014 一般社団法人 日本ペインクリニック学会
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