2014 年 21 巻 1 号 p. 54-58
症例は49歳,女性.X-24年に多発性硬化症と診断され,X-11年右顔面痛を発症した.以降,投薬,三叉神経枝ブロックやガンマナイフを施行されてきた.X年6月右顔面痛のコントロールが不良で,内服中のカルバマゼピンによる肝障害が悪化し中毒域に達したため,痛みのコントロールとカルバマゼピン減量目的に入院となった.頭部MRIおよび眼輪筋反射検査など客観的検査で症候性三叉神経痛が確認され,カルバマゼピンを減量し薬剤を調整した.第9病日コデイン投与後から痛みは著明に改善し退院となった.症候性三叉神経痛で抗痙攣薬,抗うつ薬などの効果が不十分なとき,オピオイドも考慮する必要があると考えられた.