日本ペインクリニック学会誌
Online ISSN : 1884-1791
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マギル疼痛質問票による神経障害痛の性質の比較─神経障害痛患者と脊髄神経根症患者はよく似た性質の痛みを訴える─
平井 絢子住谷 昌彦大淵 麻衣子小倉 信相川 和之小暮 孝道関山 裕詩山田 芳嗣
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論文ID: 11-0016

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抄録
【背景】2008年国際疼痛学会の定義により,椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などで生じる脊髄神経根症(Rad-P)は神経障害痛に分類されるが,帯状疱疹後神経痛などの従来からの神経障害痛(cNeP)に比しNSAIDsへの反応性が高く,臨床的にはその病態が異なる可能性が示唆される.そこで,cNePとRad-Pの相違を,マギル疼痛質問票日本語版(MPQ)を用いて,患者の訴える痛みの性質の観点から評価した.【方法】cNeP群362人とRad-P群100人を対象にMPQを調査し,MPQの20要素について因子分析を行った.得られたMPQの要素から2群を効率よく分類できるか判別分析を用いて検討した.【結果】因子分析では両群ともMPQの20要素中それぞれ14要素が抽出され,そのうち11要素が共通していた.抽出された要素を用いた判別分析では,両群の判別率は41%であり,痛みの性質から2群を分類できなかった(p=0.99).【考察】異なる痛みの性質は異なる病態に起因すると考えられている.MPQで評価したRad-P患者の痛みの性質はcNePと類似しており,その病態はcNePと同様であることが示唆された.
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© 2012 一般社団法人 日本ペインクリニック学会
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