日本ペインクリニック学会誌
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メキシレチンによる Hypersensitivity syndrome の1例
朴 基彦高雄 由美子香川 哲郎真田 かなえ森川 修尾原 秀史
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2003 年 10 巻 1 号 p. 51-54

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抄録
舌痛症に対してメキシレチンを内服投与したところ hypersensitivity syndrome を生じた1症例を経験した. 症例は66歳, 女性. 9年前に受けた歯科治療をきっかけに舌に痛みが出現し, 当科へ紹介された. 星状神経節ブロックとともに抗うつ薬と抗不安薬の投与を開始した. ドラッグチャレンジテストによりリドカインとケタミンが有効であることが判明し, メキシレチンの内服を開始した. その後ケタミン持続点滴療法を併用し, 舌のしびれは残るものの痛みはほぼ消失した. しかし初診後69日目に掻痒感出現したため内服薬を中止. 71日目には顔面の著明な浮腫, 頭皮および体幹にも地図状の紅斑が出現し, 口腔内にも粘膜疹が認められた. 当院皮膚科に紹介し即日入院となり, ステロイドの点滴投与等による治療が開始された. 皮疹は徐々に軽快したが経過中に一過性の肝機能障害が認められた. 臨床症状, 臨床経過およびパッチテストによりメキシレチンを原因薬剤とする hypersensitivity syndrome と診断された. 疼痛治療にメキシレチンを使用する機会が増えてきているが, 開始後しばらくして全身症状を伴う重症皮疹を起こす危険性のあることを念頭に置いておくべきである.
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© 一般社団法人 日本ペインクリニック学会
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