日本ペインクリニック学会誌
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ミダゾラムの少量投与により脊椎麻酔による幻肢痛の出現を予防しえた1例
三浦 耕資境 徹也山田 泰之冨安 志郎諸岡 浩明澄川 耕二
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2003 年 10 巻 4 号 p. 513-515

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抄録
脊椎麻酔によって幻肢痛が生じたことのある患者が二度目の脊椎麻酔を受けた際, 少量のミダゾラムを投与して幻肢痛の誘発を予防できたと考えられる症例を経験した. 症例は78歳の男性. 身長157cm, 体重42kg. 47年前に下肢切断術を受けたが, 幻肢痛の既往はなかった. 術前の血液検査では梅毒血清反応は陰性であった. 尿管鏡検査のためブピバカインを用いて脊椎麻酔を行ったところ, 電撃痛様幻肢痛を訴えた. ミダゾラム2mgの静注により幻肢痛は完全に消失し, その後は, 検査中・検査後を通じて幻肢痛の訴えはなかった. 10日後, 再度の尿管鏡検査が予定された. ミダゾラム1mgを静注後, ブピバカインによる脊椎麻酔を行ったが, 幻肢痛の出現は検査中・検査後を通じて認められなかった. 体性入力遮断を契機に生じる脊髄後角での異常発火, 大脳皮質感覚運動野のGABA抑制系の機能の低下がミダゾラムで抑制され, 幻肢痛の誘発を予防できたと推測された.
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© 一般社団法人 日本ペインクリニック学会
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