抄録
コハク酸プレドニゾロン (水溶性プレドニン®) はくも膜下投与が認められているステロイドである. 6症例の難治性帯状庖疹後神経痛患者 (上部胸髄, 下部胸髄レベル各3症例) に対して, コハク酸プレドニゾロン40mgを溶解した3%脊髄麻酔用リドカイン2~3mlを, くも膜下腔に延べ16回注入し, 治療の有用性と問題点をレトロスペクティブに検討した. 治療により疼痛は visual analogue scale で治療前中央値55から最終35へと有意に低下した. 16回の治療中14回で血圧が低下し, 昇圧薬が必要となった. また高位脊髄麻酔や鎮静による呼吸抑制が11回で生じ, 補助換気を必要とした. 高位脊髄麻酔による中枢神経症状の治療や予防のため9回でジアゼパムを使用した. 本法は帯状庖疹後神経痛の治療に有用であったが, 溶媒として用いたリドカインによる副作用は頻繁に認められ, 十分なモニター下に注意深い管理が必要であると思われた.