抄録
目的: Faied back surgery syndrome (以下FBSS), 腰椎椎間板ヘルニア (以下LDH) および腰部脊柱管狭窄症 (以下LSCS) の, 腰仙部神経根性疼痛に対する選択的神経根ブロックの長期効果を, 後ろ向きに比較検討した. 方法: X線透視下にL5またはS1神経根造影後, 神経根ブロックを行った72例 (FBSS群27例, LDH群23例, LSCS群22例) を対象とし, ブロック前, 1, 3ヵ月後のNumerical Rating Scale (NRS), NSAIDs消費量と手術の要否を検討した. FBSSの主病因であった椎間板由来 (11名) と脊柱管狭窄由来 (11名) の根性痛に対する効果についても検討した. 結果: NRSおよびNSAIDs消費量は3群とも1, 3ヵ月後で有意に低下し, LDH群で最も低下した. FBSS群2例, LDH群4例, LSCS群4例で手術を要した. FBSSの椎間板由来群のNRSは脊柱管狭窄由来群と比較し1ヵ月後で有意に低かった. 結論: 腰仙部神経根症を呈した腰下肢痛に対する選択的神経根ブロックの長期効果は, LDH例において最も優れ, FBSSにおいてもLSCS例と同程度に期待できると思われる.