日本ペインクリニック学会誌
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院内製剤としてのケタミン製剤の臨床応用に関する評価
経口または口腔内投与後のケタミン, ノルケタミンの血漿中濃度プロファイル解析
金内 美妃澤口 利香郡 修徳千本木 要坂井 英夫浅野 真井関 健
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2006 年 13 巻 1 号 p. 18-22

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抄録

ケタミンは全身麻酔薬であるが, 麻酔量よりも低用量を投与すると, 神経因性疼痛に関与しているとされるNMDA受容体の非競合的拮抗薬として作用するため, 鎮痛薬としても広く使用されている. 一方, ケタミンの市販薬は注射剤のみであるため, われわれはこれまでに, ケタミンの新しい経口製剤としてケタミン寒天製剤を調製し, その概要を報告しているが. 今回はこの製剤を経口投与した場合のケタミンおよびノルケタミンの体内動態について検討し, さらに口腔内投与時の体内動態との比較を行った. 4人の健常成人に寒天製剤を経口投与または口腔内投与し, 経時的に採血を行った後, 血漿中のケタミンおよびノルケタミン濃度をHPLCにより測定した. 製剤を経口投与した場合, ノルケタミンの血漿中濃度はケタミンに比べ有意に高かった. 一方, 口腔内投与時のAUC0→6hは, 経口投与時と比べ, ノルケタミンでは減少し, ケタミンでは約2倍に上昇した. 以上の結果より, 寒天製剤の口腔内投与によりケタミンの代謝が抑制されたことが示唆される.

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