日本ペインクリニック学会誌
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硬膜外ブピバカイン持続注入による術後疼痛管理と血漿濃度の推移に関する研究
土橋 雄二松本 勉吉田 伸司
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1995 年 2 巻 3 号 p. 405-411

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抄録

目的: 0.25%と0.5%ブピバカインを用いて, 上腹部手術後患者に48時間持続硬膜外注入を行ない, 鎮痛, 血圧低下, 血漿濃度, 薬容量の見地より, 至適薬容量の決定を行なった.
方法: 予定非開胸上腹部消化器手術患者40名を対象とした. 0.25%群 (n=20), 0.5%群 (n=20) の2群に分けた. Th7に硬膜外カテーテルの先端を位置し, 硬膜外腔へ手術終了直前にブピバカインを身長により6mlか7mlを単回投与し, 単回投与1時間後より3ml/hrか4ml/hrで48時間持続硬膜外注入を行ない, 鎮痛効果, 無痛域, 血漿濃度, 平均動脈圧, 心拍数, 動脈血ガス分析および副作用を調査した.
結果: 0.25%群より0.5%群が鎮痛効果が高く, 血漿濃度は48時間後に最高で3.07±0.61μg/mlに達した. しかし, 局所麻酔薬中毒を呈した症例はなく, 血圧低下はあるが昇圧剤の必要はなかった.
結論: 上腹部手術後患者にはカテーテルの先端がTh7の位置にあれば, 0.5%ブピバカインを3~4.3ml/hrの持続硬膜外注入は, 術後疼痛に有効であり, 血漿濃度の推移より適量と考えられた.

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© 一般社団法人 日本ペインクリニック学会
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