日本ペインクリニック学会誌
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星状神経節ブロックが奏功した顔面部帯状疱疹に合併した外転神経麻痺
長谷 浩吉目黒 和子藤本 幸弘
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1999 年 6 巻 2 号 p. 105-109

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抄録

顔面部の帯状疱疹に合併した外転神経麻痺に対して星状神経節ブロック (SGB) が奏功した2例を経験した. 症例1は81歳, 女性で右顔面全域の水疱性皮膚発疹と疼痛, 複視が出現し, 右三叉神経帯状疱疹の診断で薬物療法を受けた. 皮膚症状軽快後も, 外転神経麻痺と疼痛が残存したが, 1日1回のSGB (1%メビバカイン7ml) で疼痛の軽減, 眼球運動の改善がみられ, 15回のSGB後複視, 疼痛がほぼ消失した. 症例2は72歳, 女性. 左耳介後部皮疹と左顔面神経麻痺出現後複視が出現し, ラムゼーハント症候群, 左外転神経麻痺と診断された. 薬物療法で顔面神経麻痺は改善したが, 外転神経麻痺が残存し, 1日1回のSGB (1%メビバカイン7ml) を開始した. SGB開始後には左眼球の外転が徐々に可能となり, 13回目には眼球運動がほぼ完全回復した. SGBは帯状疱疹の疼痛のみでなく, 本症例のように併発症の治療にも有効であり, 発症早期からのSGBの施行が罹病期間の短縮を望めるものと思われる.

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