日本ペインクリニック学会誌
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帯状疱疹痛の知覚障害とサーモグラフィ
中保 利通
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1999 年 6 巻 2 号 p. 93-99

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抄録
目的: 帯状疱疹患者の知覚障害と皮膚温から, 神経ブロック治療前に重症度と予後を知る. 方法: 78名の帯状疱疹患者 (男42名, 女36名, 平均66歳) を対象とし, 初診時に触覚および冷覚で知覚障害の程度を調査するとともに, 罹患部および対側健常部の皮膚温を測定した. このうち35名では初診時だけでなく, 追跡調査も行ない, 知覚障害, 皮膚温と発症からの経過期間や治療期間などとの関係につき検討した. 結果: 発症30日以内の症例 (n=37) では31日以上の症例 (n=41) よりも罹患部皮膚温が有意 (p<0.01) に高く, 初診時の触覚低下症例 (n=43) は, 正常 (n=16) または過敏症例 (n=19) に比して有意 (p<0.05) に発症から初診までの経過期間が長かった. 三叉神経領域の皮膚温は胸神経領域より有意に高く, 両領域で異なる推移を示した. 罹患部皮膚温は治療後に左右の温度較差が減少した. また多くの症例で知覚の改善が認められた. 結論: 帯状疱疹の臨床経過に伴った皮膚温と知覚所見の推移について, 有意義な知見を得ることができ, 重症度と予後を推測する指標として皮膚知覚特に触覚低下の有無が参考となった.
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© 一般社団法人 日本ペインクリニック学会
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