日本ペインクリニック学会誌
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フォルマリン誘発疼痛反応における脳ならびに腰髄内GABA受容体サブタイプの機能的役割
高橋 俊明澄川 尚荻原 幸彦本間 豊彦一色 淳
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2001 年 8 巻 2 号 p. 64-73

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抄録

目的: 本研究はフォルマリン誘発疼痛反応に及ぼす高分子量のGABA受容体サブタイプ関連薬の影響を比較し, 疼痛反応における脳および腰髄内GABA受容体サブタイプの役割を明確にすることを目的とした. 方法: 腰髄クモ膜下腔または側脳室内へGABA受容体関連薬物を投与し, フォルマリン誘発疼痛反応に及ぼす影響を, ラットの flinching 反応を主とした行動薬理学的検索から解析した. 筋弛緩の判定は斜板法を用いた. 結果: GABAa受容体作動薬 (15nmol) の腰髄クモ膜下腔投与は筋弛緩が発現し, しかも, フォルマリン誘発疼痛反応を消失させた. しかし, 同mol数の側脳室内投与では筋弛緩ならびに疼痛反応のいずれも有意な変化は認められなかった. 一方, GABAb受容体作動薬 (15nmol) の腰髄クモ膜下腔投与は明確な筋弛緩は認められなかったが, フォルマリン誘発疼痛反応を抑制し, 側脳室内投与では痙攣の発現とともに増強が観察された. さらに, GABAb受容体作動薬の脳室内投与で生じる疼痛増強は競合的拮抗薬で有意に抑制されたが, 痙攣は抑制されなかった. 結論: 脳および腰髄内GABA受容体サブタイプのフォルマリン誘発疼痛反応における役割の相違が明らかとなった. さらに, 上位中枢におけるGABAb受容体は痙攣発現機構のみならず, よりフォルマリン誘発疼痛反応増強に密接に関与していることが示唆された.

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© 一般社団法人 日本ペインクリニック学会
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