精密機械
Print ISSN : 0374-3543
切削機構に関する研究 (第2報)
剪断領域における変形の観察
中山 一雄
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1957 年 23 巻 273 号 p. 528-532

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抄録
以上, 瞬間撮影法によつて剪断領域における変形状況を調べた結果, 明らかになつた事は次の諸項である。
1.剪断領域の厚さは略々匁先からの距離に比例して増加する。
2.従つて剪断歪速度は匁先から離れた所程低下する.
3.剪断開始面が切削方向となす角は所謂勇断角より3°乃至10°小さく, 勇断開始面は切削力の方向と大体45°をなす。
4.剪断領域の厚さは, 本実験の条件下では切削速度によつては殆んど変化が認められない。
5.切込が増すと, 略それに比例して勇断領域は厚くなる。
6.すくい角が増すと勇断領域は薄くなる。
7.以上は銅及び軟鋼の常温切削について見出されたことであるが, 銅の高温切削の場合にも変形の様子に変化は認められなかつた。従つて, 理想的な流れ型切削が行われる限り, 被削材の性質は剪断領域での変形に余り影響しないものと推定される。
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© 社団法人 精密工学会
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