精密機械
Print ISSN : 0374-3543
加工条件が砥粒の破砕におよぼす影響
噴射加工における砥粒の破砕について(第2報)
山田 至朗柳島 釭仁夫
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1970 年 36 巻 431 号 p. 814-819

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抄録

噴射加工における連続性の要求に対し加工条件(乾湿噴射様式,被加工物および噴射角の変化)が,面あらさの変化を支配する主因たる,砥粒の破砕におよぼす影響について調べた結果つぎのことがわかった.
(1)同一噴射速度での乾式および湿式噴射砥粒の破砕について,90°噴射では疎水性のC砥粒は水の緩衝作用により乾式に比べて湿式噴射の方が破砕は少なく,親水性のA砥粒では水がふん囲気として砥粒の破砕を促す作用と緩衝作用とがほぼ相殺し,その結果乾・湿噴射様式による砥粒の破砕の差は微小となる.
またA砥粒,C砥粒ともに砥粒の破砕は被加工物のかたさと比例関係にあり,かたさの増加とともに砥粒の破砕は激しくなり,その消耗を促す.
(2)A砥粒について,噴射角を変化させると噴射角の減少とともに砥粒の被加工物への接触時間が増加し,水のふん囲気としての影響が増大して水の緩衝作用を上回るようになり,その結果乾式より湿式噴射の方が砥粒の破砕は激しくなる.なお噴射角を減少させると砥粒に働く垂直圧力は減少し,衝撃圧壊による砥粒の破砕は少なくなる.
破砕砥粒の顕微鏡写真より,90°噴射では砥粒は全体的に粒径が小さく,噴射角が減少すると比較的大きな粒径の砥粒が残留するようになり,これら径の大きな砥粒は水平分力の発生により被加工物との摩擦から先端はチッピングを起こして丸味を帯び,微細砥粒が増していることが観察され,前述の噴射角の減少による衝撃圧壊力の減少を裏付けた.
(3)噴射加工面のあらさについては砥粒径の変化より推察できるように,被加工物のかたさの大きいものでは連続性を維持することは困難であり,噴射角を減少させることは面あらさを小さくすると同時に連続性を維持するのに有効である.

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