精密機械
Print ISSN : 0374-3543
回折像による角度測定に関する研究
縞間隔を利用した測定法
伊藤 紀男加藤 正
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1978 年 44 巻 525 号 p. 1078-1084

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抄録

本研究ではレーザ光の可干渉性を利用して,くさび状をなす開口と物体の角度を,その後方にできるFraun-hofer回折像の縞間隔が角度によって変化するという点に着目して測定する一つの方法を提案した。そして本測定法の特徴から比較的小さく,しかも厚みの無視できるような試料によって実験を試み,その結果と主として従来からの方法である投影器による測定値との比較を行った。さらに本測定法の問題点や縞次数との関係についても検討を加え,次のようなことが明らかにされた.
(1) くさび状をした開口によっても物体によっても,そのFraunhofer回折像は双曲線群となることを示し,実験によっでそれを確認した.
(2) 回折像を利用した角度測定法としての原理的な特長が明らかにされた.
(3) この方法では入射光に対する試料のわずかな非垂直性はほとんど無視できる.
(4) 測定精度を高めるためには,縞間隔の測定誤差をできるだけ小さくすることである.
(5) 今回の測定例の結果からは投影器測定値と2%以内で一致しているが,次数との顕著な関係は現れなかった.

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© 社団法人 精密工学会
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