精密機械
Print ISSN : 0374-3543
刃先の加工と切味
のこの加工と切味評価
宮沢 二郎
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1979 年 45 巻 534 号 p. 720-722

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抄録

以上の結果をまとめ,今後の課題を展望してみる.
(1)官能検査の手法を手引きのこに適用し,人間の感覚切味の判断に一意性及び一致性のあることがわかり,客観的に切味の定量化が出来た.
(2)感覚切味とよく一致した切味試験機の開発によって,能率的に客観的な判断で,手引きのこの切味の判定をすることが可能となった.
のこの製造業には多くの開発課題がある.しかし業界の多数が零細企業であることから,技術開発力は乏しい.この点からも試験場が,開発課題を企業と共同で研究していくことが肝要である.次に当面の課題を列記する.
(1)開発した切味試験機を活用し,切味と材質・熱処理・刃先形状などとの関係を求め,切味の耐久性を含め総合的にのこの性能向上を図る必要がある.
(2)矯正及び腰入作業は,熟練と勘に頼る作業であるが,作業の自動化・機械化は極めて困難である.形状測定4)については,研究が進められている.腰入れについては,ローラなどによる機械化は進んでいるが,腰入れによる内部応力の測定法についての開発が急がれている.
(3)のこは,金相学的に最もさびやすい状態にある.さびはのこの性能をたちまち悪くすることから,のこの耐銹性の検討が必要である.

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© 社団法人 精密工学会
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