工具・被削材熱起電力変動波形には切削現象に関する情報が多く含まれているが, ここでは切りくず折断に関する低周波成分について取扱い, 以下の結論を得た.
(1) 工具と被削材を熱電対として, 熱起電力を測定する方法は切りくず折断状態の検出器として有効である.
(2) 切りくず折断に伴う熱起電力変動は工具すくい面と逃げ面で独立に発生し, その合成波として現れる.
(3) 熱起電力変動と切削抵抗変動には良い相関があり, 変動周期は切りくず折断周期に一致する.
(4) 熱起電力の自己相関係数平均値により, チップブレーカたよる切りくず折断の安定性を定量的に評価することができる.