精密機械
Print ISSN : 0374-3543
回折像による角度測定に関する研究 (第2報)
光扇を利用した測定法
伊藤 紀男加藤 正
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1979 年 45 巻 539 号 p. 1297-1302

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抄録

本論文では物体上に直線的な形状が存在するとき, そのFraunhofer同折像がその直線に垂直な方向に扇状に広がる光扇を生じるという現象を利用して, 光学的に角度測定を行う方法について述べた.そしてこの測定法の基本的な問題の検討や測定誤差の要因などについて考察し, さらに簡単な測定装置による測定が行われた.その結果を要約すると次の通りである.
(1) 光扇を利用した角度測定法は, 2本の光扇が重なるような角度0°や180°近傍以外では, 比較的精度よく測定できる方法である.測定例では約20~160° (あるいは200~340°) の範囲の角度に対して, 投影器による測定値と0.5%以内で一致した.その反面, 上記以外の角度に対しては最大3%の誤差率をもった.
(2) 光扇像に影響を与えるような入射光に対する試料の傾きには二つの方向が考えられるが, その影響は5°の傾きに対して約0.4%の誤差を生じさせる.しかし, これらの傾きは常に傾きの小さい成分が大きい成分と相殺し合うという関係をもつ.

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© 社団法人 精密工学会
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