精密機械
Print ISSN : 0374-3543
ボルト頭部座面圧力分布と結合面圧力分布の関係
清水 伸二
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1983 年 49 巻 12 号 p. 1645-1651

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抄録

ボルト締結部のボルト頭部座面と結合面の圧力分布の関係について有限要素法により理論的に考察した結果次のことが明らかとなった.
(1) ボルト頭部座面圧力分布を頭部外周側へ拡大あるいは移動することによって,結合面圧力分布のボルト軸心側への片寄りは緩和され,より一様な圧力分布状態に近づくとともに圧力作用範囲も大きくなる。このような座面圧力分布は,ボルト頭部座面のボルト軸部周辺をぬすむことによって容易に実現できる.
(2) ボルト頭部座面圧力分布は,締結体厚さTの影響はほとんど受けないが,締結体材質の影響は受ける.
(3) 座面の等価圧力作用直径deqを基点とした新しい圧力円すい半角θeqを導入することにより,結合面圧力作用範囲Dpを次式のように画一的に表現でき,従来より正確にDpの推定が可能となる.
Dp=deq+2Ttanθeq
(4) deqは,締結体厚さとは無関係に一定であるが,ボルト頭部寸法,座面ぬすみ径,締結部構成要素の材質の組合せの影響を受ける.
(5) θeqは締結体厚さ,ボルト頭部寸法およびその材質,座面ぬすみ径とは無関係に一定であるが,締結体とベースの縦弾性係数の影響を受け,両者の比が定まれば一義的に決定できる.例えば,その比が1の場合は,θeqは56°となる.

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