植物工場もこうして見てくると,我々精機学会員のやれそうな面白い部分が沢山あることに気付かれたことと思う.私は常日ごろから,我々の工学的なセンスはどのような分野にも有効に活用できるものだと思っている.もちろん最初はその分野の基礎的・常言識的な知識の修得は必要であるが,これはそれほど大変なことではない.農業なら農業のすべての知識は必要ないし,研究対象に関係する知識だけでよいのである.たとえば夏風邪をひいたとすると,医者でない我々はどうしたら早く治るか日ごろの工学的センスを働かせて努力する.いろいろな仮説をたてて薬や漢方を試して,その結果からまた次の手を考える.町医者の通り一遍(?)の処方より,自分で自分の体に合った処方を考え出す方がよっぽど良い場合が多い.我々は保守的にならずにもっと積極的に他分野へ足を踏み入れ,その分野の進歩に協力すべきだと思う.またそんなにかたいこと言わなくても,会員諸兄の研究室でメロンやイチゴが一年中収穫できることを考えても楽しい研究ではないだろうか.
