精密機械
Print ISSN : 0374-3543
單一ねぢ研磨砥石の成形
青木 保
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1941 年 8 巻 88 号 p. 47-57

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抄録

ねぢを仕上げるための工具, 例へばねぢ切りバイトは旋削工に成形されたものが供給され, ねぢ研磨工は彼の工具即ち研磨砥石に自分でねぢ形を與へる.このとき用ひられるダイヤモンドは周知の如くねぢ切りバイトの成形のための工具に相應するが, ねぢ切りバイトそのままではない.即ちねぢ形の外周の丸味を比較的瘠せた [肥えた] 形にしようと思ふならば, 肩バイトのその點の丸味も亦瘠せて [肥えて] 居なければならぬが, ダイヤモンドの丸味は肥えて [瘠せて] 居なければならぬ.ダイヤモンドはねぢの外周に於ける丸味と同じ輪廓を持つが, ねちの位置に對して90°+1/2 (ねぢ山の角) だけ囘轉して居る (第8圖).
ねぢ切りバイトを成形する場合の幾何學的關係は研磨砥石の成形の際よりも簡單である.梯形ねぢ切りバイトに於いて例へば “谷の幅” を小さくする [大きくする] ためには2つの側面の双 [谷の双] を切り落せばよいが, 研磨砥石に於いての “谷の輻” を小さくする [大きくする] には, ダイヤモンドをその旋囘點周りに變位 (ダイヤモンドを砥石の方へ近づける又は砥石から遠ざける) すればよく, この場合にダイヤモンドで3つの刃を加工すれば, 砥石の “谷の幅” の僅かな變化が同時に生する (第2圖).
本論文に於いては研磨砥石の成形の際, 及びこの形を製品に傳達する際及び所要のねぢ形とダイヤモンドの間に存在する幾何學的な關係を研究し, その計算例を示す.種々な型のねぢに對して求められた結果は第12圖に総括してあり, 記號は第13圖に説明してある.

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© 社団法人 精密工学会
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