1942 年 9 巻 111 号 p. 767-780
球軸受用鋼球をニユートン干渉縞を利用して觀測する方法を述べる.實用されてゐる鋼球の表はす縞の形,それと眞球度測定,表面検査との關係を験べた.その結果を抄記すると,
(1)干渉縞の方法で主として見出されるものは表面粗さの一種と考へられる凹凸である.然し眞球度について略1μ以上悪い球ではその形が確認される.
(2)普通級軸受用の鋼球には1μ又はそれ以下の凹凸は無數にあるから單に選擇精度を上げただけでは眞球度の良いものを得る事は不可能である.凹凸の有無を確めるには今の所干渉方法が唯一であらう.
(3)顯微鏡的な表面検査と干渉縞の方法で得た結果とには關係はない.
(4)表面の粗さ,凹凸と鋼球の製作工程とは密接に關係して居ると思はれる.