2025 年 24 巻 1 号 p. 91-105
本研究の目的は,アメリカの学校におけるチーム援助の実践を資料として,日本における今後のチーム援助の可能性と課題について検討することである。2022年11月,米国カリフォルニア州公立学校5校への訪問記録を,整理・分析した。主な結果として,①訪問した学校では,校長が定期的なコーディネーション委員会等にメンバーとして出席してマネジメントが促進されている,②多様な支援スタッフ(SP・SC・SSWなど)が勤務し協働していることがあげられた。
以上のことから,日本のチーム援助のあり方において4点が考察された。①管理職が学校の教育目標に沿った課題・経営目標を教職員に明確に提示する,②管理職が心理教育的サービスやチーム援助に関係する分掌部会等(会議)へ積極的に参加する,③校内の支援スタッフ(SC・SSWなど)の役割は,全校児童生徒を視野に入れた一次的援助の話し合い(作戦会議)に積極的に参加することを含む,そして④教員とSCやSSWらが適切に分業する新しいチーム学校のシステム構築(例えばPBIS)を促し実践する,以上の点が必要であることを確認した。