静脈経腸栄養
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総説
21世紀に求められる栄養管理
―NST活動におけるグルタミンと亜鉛投与の有用性について―
東口 高志
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2005 年 20 巻 4 号 p. 4_17-4_23

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抄録

栄養管理はすべての疾患治療のうえで共通する基本的医療のひとつであるが、中心静脈栄養に頼りすぎた栄養管理は長期の絶食につながり、腸管の萎縮、免疫能の障害などを併発することがある。腸管の栄養学からみると栄養素の投与経路として経静脈栄養よりも経腸栄養の方が、生理反応を維持することにより利点を多く有する。NST (Nutrition Support Team : 栄養サポートチーム) における活動の質を向上させ、適切かつ効果的な栄養管理を実践するためには、この腸管が有する多くの利点を如何にいかすか、またグルタミンや亜鉛などのように特異的な効果を有する栄養素を如何に活用するかが求められる。すなわち、腸管絨毛上皮の萎縮防止や侵襲時におけるいわゆるbacterial translocationの発生を抑制するためには、経腸栄養の併用や、腸管粘膜細胞の主要エネルギー基質であるグルタミンの投与が有用と考えられる。一方、亜鉛も火傷、外傷、外科手術などの侵襲期や腸粘膜疾患、肝疾患、感染症の急性期では著しく欠乏するため適切な補充が必要となる。このように種々の栄養素を適切な経路を用いて投与することが今後の栄養療法には不可欠と考えられる。

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© 2005 日本静脈経腸栄養学会
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