2006 年 21 巻 1 号 p. 1_35-1_42
当院では、2002年2月より全科型NSTを開始した。栄養の視点から入院患者を評価し必要時介入し、同時に回診スタッフ、病棟スタッフのレベルアップ、器具の整備等行い、それなりの手応えを感じた。そんな中、院内リスクマネージメントとして栄養と同等の柱であり、その予防、治療にも栄養が影響する病院感染対策でも、2003年4月より従来の感染委員会に加え、実働部隊としてのICTをNSTと協働とし立ち上げた(NST&ICT collaboration)。NSTとのメンバーの共通化、週1回合同カンファレンス、回診を通じ、従来の感染経路遮断を中心とした対策に加え、NSTで学んだ個々の症例の情報を把握し、介入するといった方法論を感染対策にも持ち込んだ。その中で、抗MRSA抗生剤使用全症例の血中濃度測定(Therapeutic drug monitoring : TDM)は、感染症発症時に対策チームが患者、治療効果を把握し、必要時介入できる点で、特徴的な手法である。その効果を確認するため、NST開始前6ヶ月からの4年間における、栄養・感染管理の指標、1.中心静脈カテーテル挿入者数、2.カテーテル関連血流感染者数、その発生率、3.抗MRSA抗生剤購入数、4.MRSA感染症発症者数の推移を検討し、各々にその改善を認めたので報告する。