2007 年 22 巻 2 号 p. 145-150
2006年4月の診療報酬改定に際して新設された「栄養管理実施加算」の施設基準において実質的なNSTの設立と活動が求められ、医療スタッフの一員として薬剤師が明記された。これは、薬剤師の新たな職能として臨床栄養にかかわる業務が公に認められたものと理解される。これからの薬剤師は、多職種共同によるNST活動を展開して行く中で、薬の適正使用という従来の薬物治療の範疇に留まらず、入院患者個々の栄養治療、栄養ケアにおいて経口栄養から経腸、経静脈栄養まで、薬と栄養の双方にかかわる専門職として一貫した高度な栄養ケア業務の実践が求められる。急速な展開を見せたわが国のNSTは、いまその存在意義と真価が問われている。NSTのスキルアップにむけて栄養ケアのモニタリングはいかにあるべきか、専門性を持った業務のあり方について薬剤師の立場から整理し、考えてみる。