抄録
本邦におけるNST活動は、稼動施設数やJSPEN会員の増加など、大きな成果を残しているように見える。しかし、このNST活動が施設内に定着し、すべての患者に対して適切な栄養療法が実施されるようになったかと考えると、数多くの問題が残されている。医療従事者の栄養療法に関する知識不足も1つの問題である。最も根本的な問題が医師の栄養療法に対する姿勢である。医学生に対する臨床栄養教育、卒後教育が明らかに不足している。医師が栄養療法の意義・重要性を認識し、適切な栄養療法を実施しようとすれば、自ずとNSTの必要性が実感されて活発なNST活動が実施できることになる。TNTおよびNST医師教育セミナーなどを積極的に推進し、医師の臨床栄養に関するレベルアップを図ることがNST活性化のための最重要課題である。