抄録
【目的・方法】欧米では造血幹細胞移植後の栄養管理はガイドラインに基づいて行われるが、本邦ではそのようなガイドラインは存在しない。本邦の栄養管理の現状調査のために、全国130の移植施設の医師に対して質問数34項目のアンケート用紙を送付し、80施設(62%)から回答を得た。
【結果】経口摂取が不可能な患者における投与カロリーは1.0 ~ 1.3×基礎エネルギー消費量とする施設が最も多く(39%)、次に特に決めていないとする施設が多かった(38%)。脂肪乳剤の使用は18%に過ぎず、糖質とアミノ酸のみを用いる施設が最も多かった(58%)。院内NSTは86%の施設で存在するが、実際に移植患者の食事相談に対応している施設は24%に過ぎなかった。
【結論】本邦においては、移植後の栄養管理は施設間で大きく異なる実態が明らかとなった。栄養管理は移植患者の予後にも影響する可能性が強く、その普及には医師のみならず、看護師、栄養士、薬剤師の積極的な参加が期待される。