静脈経腸栄養
Online ISSN : 1881-3623
Print ISSN : 1344-4980
ISSN-L : 1344-4980
原著
酸性経腸栄養剤を用いた経腸栄養カテーテル閉塞機序の検討
丸山 道生長浜 雄志佐藤 栄吾丸山 祥司真田 貴弘小出 綾希大日向 玲紀江淵 正和
著者情報
ジャーナル フリー

2008 年 23 巻 3 号 p. 3_315-3_320

詳細
抄録
【目的】流動性が低く酸性の半消化態栄養剤ファイブレンYH®(以後、YHと略)を、細菌増殖と凝固、カテーテル(以後、カテと略)閉塞に関して他の(非酸性の)半消化態栄養剤と比較検討した。
【方法】(1)E. coli、E. faecalis、K. pneumoniaeを栄養剤内培養し、経時的に細菌数、PHを測定、栄養剤凝固の有無を観察した。(2)空腸瘻から栄養剤を持続投与、カテ閉塞を観察した。
【結果】】(1)対照3種の栄養剤では3菌種とも経時的に増殖し、24時間でPHは約1低下し、凝固が観察された。YHでは細菌数は低下し、24時間でPHは4から変化せず、凝固も認めなかった。(2)YH持続投与21症例ではカテ閉塞は認めず、観察期間は5~61日(平均21日)であった。対照の栄養剤では9例中8例(89%)が2~28日で閉塞をきたした。
【結語】粘調な栄養剤YHはカテ閉塞をきたさなかったことから、カテ閉塞の原因は栄養剤の細菌汚染によるPH低下に続く凝固が一因であると考えられた。YHはカテ閉塞がなく細いカテーテルでも使いやすい製剤である。
著者関連情報
© 2008 日本静脈経腸栄養学会
前の記事 次の記事
feedback
Top