抄録
症例は35歳女性。先天性胆道拡張症に対し15才時に手術治療を受けた。その後膵炎症状を繰り返し、計3回の膵管減圧手術を受けたが改善しないため、2年前より静脈ポート挿入の上、在宅経静脈栄養を行っていた。平成19年4月に腹痛を主訴に前医へ入院したが麻薬などの保存的治療では疼痛が改善しないため、手術目的に平成19年8月当院へ転院しFrey手術を施行した。術後は膵炎所見や仮性のう胞形成を認めず良好に回復した。これまでの経過から食事に対する恐怖心が強くまた、不自然な排便習慣となっており術後の食事摂取に際して困難が予想されたため、周術期栄養療法として栄養科と連携を図りつつ術前より栄養強化を行ったところ自然な排便習慣と食事ができるようになった。今回の方法は慢性膵炎手術時の栄養管理と、長期絶食時の手術治療に際しての周術期栄養療法として意義あるものと考え若干の文献的考察を加えて報告する。