静脈経腸栄養
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原著
栄養サポートチーム(NST)におけるRapid Turnover Protein(RTP)測定の有用性
二村 昭彦東口 高志大柳 治正
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2009 年 24 巻 4 号 p. 941-948

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抄録

【目的】全国のNST稼動施設を対象に、多施設共同試験をprospectiveに実施して、RTPの早期栄養指標としての性能や機能性を検証した。
【対象及び方法】急性期症例、慢性期症例を対象にALB、RTPの経時的推移を追跡し検討した。また、摂取エネルギー量が基礎代謝エネルギー消費量を充足した群、充足しなかった群と介入後7日のALB、RTP値を100%としたときの14日目の相対変動率が100%以上か100%未満かでそれぞれ2×2分割表を作成し、感度、特異度、有効度の比較解析を行った。
【結果】急性期症例では、ALBが術後14日目に再上昇するのに対し、RTPは術後7日目に再上昇を認めた。慢性期症例では、ALBはNST介入後も緩やかに推移し大きな変動を示さなかったが、RTPは14日目には再度上昇が認められた。急性期症例の感度は、ALB<RBP<Tf=TTR、特異度ALB<Tf<RBP<TTR、慢性期症例の感度は、ALB<Tf=RBP=TTR、特異度はいずれも50%と差はなかった。急性期症例の有効度は、ALB<Tf<RBP<TTR、慢性期症例の有効度はALBに比しRTPが優れていた。
【結論】急性期疾患と慢性期疾患を対象としたRTPの測定は、ALBの変動に比較して鋭敏に栄養状態を反映していることが示唆された。今後、様々な疾患の栄養療法の効果判定において、NSTを中心にRTPをモニタリングに用いることで質の高い栄養療法の展開が期待される。

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© 2009 日本静脈経腸栄養学会
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