静脈経腸栄養
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24 巻 , 4 号
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特集:地域連携におけるNSTの役割 ~診療報酬との関連~
  • 工藤 高
    2009 年 24 巻 4 号 p. 897-901
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/10
    ジャーナル フリー
    NSTに取り組まない病院は経済学でいう機会損失コストが発生している。NSTの経営的なメリットのひとつに平均在院日数短縮があげられるが、これは急性期病院では病床稼働率低下という「トレードオフ」(二律背反)の経営のジレンマを生み出す。しかし、単に病床稼働率を高くキープしたいと考えるならば、腹・胸腔鏡下手術が一般的になった術式でも全て患者に侵襲が大きい開腹手術で行えばいい。しかし、そのような病院には患者自体が集まらない。これまでの診療報酬は「点数があるからやる」というインセンティブ(動機)に支配されてきた。ところがDPCはそうではない。多職種協働チームでNSTに取り組んで労働生産性を高めることは、相対的に費用の固定費である人件費、変動費である薬剤費を下げて病院経営は安定化していく。つまり、医療の質向上と経営の質向上には明らかな相関関係がある。
  • 藤井 真
    2009 年 24 巻 4 号 p. 903-907
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/10
    ジャーナル フリー
    南大和病院は2001年にNSTを立ち上げ、現在まで8年間稼動してきている。2004年頃より、病院外での栄養管理の必要性を感じ、ホームNST、サークルNSTへの取り組みを始めた。ホームNST・サークルNSTにおいては、病院から施設へ、施設から在宅へと生活の場が移り変わっても、一連して適切な栄養管理が継続できるように、家族も含め、患者に関わるすべてのスタッフが共通の概念をもち、情報を共有していくことが栄養療法継続の上で重要である。そのためには情報を共有するための媒体の作成が急務となっており、地域密着病院の果たすべき役割は大きい。
  • 橋本 正明, 能登NST研究会 , 中村 悦子, 杉田 尚寛, 東 壮太郎, 川北 慎一郎
    2009 年 24 巻 4 号 p. 909-914
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/10
    ジャーナル フリー
    能登NST研究会は半島全域にわたる地域一体型NST活動の推進を目的にH16年より発足した。以後、研究会、NST合宿や栄養関連の地域医療セミナーを適宜開催してきた。平成20年度に策定された石川県医療計画と能登脳卒中地域連携パスは連動しつつ検討が進んだ。地域連携パスは地域全体の脳卒中医療の質の向上、チーム医療を骨格とした医療福祉関係者への貢献をもとに医療の効率化を目指すものである。パス内では脳卒中基本情報とともに、能登NST研究会の協力の下に、脳卒中の1~2次予防に関わる危険因子や基本的栄養情報およびNST介入例や経管栄養症例に対応すべく、栄養情報用紙を作成し運用した。H21年3月までの9ヶ月間で390症例の登録がなされ、その解析をもとに報告し、脳卒中連携パス内における栄養情報の重要性を認識するとともに、地域における脳卒中data bankとしての役割が期待され、今後の課題を提案する。
  • 岡田 晋吾
    2009 年 24 巻 4 号 p. 915-918
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/10
    ジャーナル フリー
    我が国の医療体制において診療所の果たしてきた役割は大きいと考える。特に最近では今まで以上に診療所の役割が大きくなってきていると感じている。その背景として高齢化社会の進展、病院の急性期医療への特化などがあげられる。このような医療環境のなかで栄養管理においても診療所に期待されている。診療所では一般外来においてメタボリックシンドロームなどの栄養過多に対する栄養指導をおこなっているのはもちろんであるが、定期的に栄養状態の把握を行うことによって低栄養状態の早期発見やがんなどの疾病の発見につながっている。また在宅医療では在宅静脈栄養療法、在宅経腸栄養法などの栄養管理を行うことも多く、診療所が地域の栄養管理に果たす役割が増えていると感じている。しかし診療所には栄養の専門家が少なく、地域の病院NSTスタッフとのサポートが必要であり地域連携パスなどの地域連携システムの構築が今後不可欠と考えている。
  • 篠 聡子
    2009 年 24 巻 4 号 p. 919-921
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/10
    ジャーナル フリー
    大学病院のNSTには様々な役割がある。医療依存度が高く生命維持が困難な患者の栄養ルートや栄養管理の相談、外来で化学療法や放射線治療を継続するための栄養補助の相談、がん終末期患者の栄養管理に関する相談、慢性疾患や合併症の悪化により再入院を反復する患者の長期栄養管理に関する相談など、様々な病態の患者へさまざまなアセスメントやサポートが求められる。
    さらに、在院日数の短縮や再入院の困難さ、核家族や独居、高齢化による介護力の不足に対し医療処置は複雑で、指導期間は短く、在宅での栄養療法の実施に困難を伴うことも多い。集中治療室での栄養支援からそのまま在宅への退院援助を行うことも少なくない。入院時の栄養アセスメントから、その後の方向性や生活状況を視野に入れた栄養療法の導入を行うことが必要となる。
    栄養療法の導入に際しては日常生活支援を踏まえた、看護の視点での栄養アセスメントが欠かせない。転院先に応じた栄養ツールや管理方法の選択、退院時の地域医療連携を踏まえた栄養ルートや管理方法の選択、医療機器や機材の調整、診療報酬の視点など、在宅での栄養療法を決定するためには、さまざまな状況を踏まえたアセスメントが必要となる。ここでは、地域連携における大学病院NST看護師の役割を述べる。
  • 岡田 有司, 澤井 照佳
    2009 年 24 巻 4 号 p. 923-926
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/10
    ジャーナル フリー
    超高齢化社会の到来と共に、医療機関へは身体的疾患に精神科疾患、認知症を合併した高齢者の受診が増加している。これらの患者の入院期間は長期に及ぶことが多く、嚥下障害などの栄養管理上の問題を多く抱えていることが多い。そのため長期療養型病院にもNSTが組織されることが多くなってきている。また長期療養型病院での栄養管理には患者や家族の生命倫理や死生観が大きく関与することがある。
    長期療養型病院でのNST・栄養管理には設備的な問題や人員的な問題が存在し、地域における栄養管理の充実には、地域の医療機関などがお互いのNSTや栄養管理を補完することで地域の栄養管理の充実を図ることが出来、医療費の抑制にも繋がるものと確信する。
  • 手塚 波子, 小川 滋彦
    2009 年 24 巻 4 号 p. 927-930
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/10
    ジャーナル フリー
    在宅患者訪問栄養食事指導(以下、訪問栄養指導)は、在宅で療養する通院困難な高齢者や、障害を抱えた患者を対象に、管理栄養士が実際に訪問して栄養指導を行なう仕事であり、在宅医療の一端を担っている。在宅医療においては、病院医療と決定的な違いがふたつある。ひとつは、仕事をする「土俵」の違いである。病院医療は、医療者自身の土俵の中で仕事を行なうが、在宅医療は相手(患者)の土俵の中で行う。もうひとつは、病院医療は、キュア(治療)が中心であるが、在宅医療はどちらかというと生活のケア(支援)に重点がおかれる。
    わたしたちは、訪問栄養指導を行うとき、この病院医療と在宅医療の基本的な違いを認識し、在宅療養者に寄り添う姿勢が求められる。
  • 長谷川 聰
    2009 年 24 巻 4 号 p. 931-934
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/10
    ジャーナル フリー
    地域連携は、NST以上のチーム医療であると考えられる。なぜなら、地域連携では、医療・介護の多職種が患者のADL・QOL向上のため、時には疼痛緩和、時には感染対策、またある時には栄養療法と、様々な連携を行うからである。しかし、病院など一施設内であっても問題点が指摘されるチーム医療であるから、多施設・多職種の在宅医療においては、更に多くの問題が生じ得ることは想像に容易い。
    だが、「患者のADL・QOL向上」という明確なビジョンがあれば、情報を共有化し、知識・技術を向上させ、信頼関係を構築することで、仮に時間を要したとしても、それら諸問題は解決できると考える。
総説
  • 飯干 泰彦, 水野 均, 大野 昭, 住井 諭美, 水谷 珠真, 岸本 朋也, 藤井 亮知, 山村 憲幸, 位藤 俊一, 伊豆蔵 正明
    2009 年 24 巻 4 号 p. 935-939
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/10
    ジャーナル フリー
    アミノ酸の役割は、蛋白合成の基質、核酸の前駆体、エネルギー源等栄養学的役割が注目されてきたが、近年細胞内シグナルを惹起することが明らかになってきた。免疫細胞においてはアスパラギンおよびグルタミンの分解酵素アスパラギナーゼ投与により細胞増殖関連のリン酸化酵素p70 S6 kinaseおよび4E-BP1のリン酸化が抑制される。リン酸化によりp70 S6 kinase はリボゾームの蛋白合成を活性化し、4E-BP1は蛋白合成における翻訳を開始させるために重要である。現行の輸液製剤にはアスパラギンとグルタミンは含まれていず、蛋白合成を抑制する可能性があり、このシグナルの存在も経腸栄養が経静脈栄養よりも免疫学的に有利な理由と考えられる。また、アスパラギナーゼは大腸菌由来の酵素であり、大腸菌の過増殖は免疫を抑制し、Bacterial Translocationを助長する可能性が考えられる。
原著
  • 二村 昭彦, 東口 高志, 大柳 治正
    2009 年 24 巻 4 号 p. 941-948
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/10
    ジャーナル フリー
    【目的】全国のNST稼動施設を対象に、多施設共同試験をprospectiveに実施して、RTPの早期栄養指標としての性能や機能性を検証した。
    【対象及び方法】急性期症例、慢性期症例を対象にALB、RTPの経時的推移を追跡し検討した。また、摂取エネルギー量が基礎代謝エネルギー消費量を充足した群、充足しなかった群と介入後7日のALB、RTP値を100%としたときの14日目の相対変動率が100%以上か100%未満かでそれぞれ2×2分割表を作成し、感度、特異度、有効度の比較解析を行った。
    【結果】急性期症例では、ALBが術後14日目に再上昇するのに対し、RTPは術後7日目に再上昇を認めた。慢性期症例では、ALBはNST介入後も緩やかに推移し大きな変動を示さなかったが、RTPは14日目には再度上昇が認められた。急性期症例の感度は、ALB<RBP<Tf=TTR、特異度ALB<Tf<RBP<TTR、慢性期症例の感度は、ALB<Tf=RBP=TTR、特異度はいずれも50%と差はなかった。急性期症例の有効度は、ALB<Tf<RBP<TTR、慢性期症例の有効度はALBに比しRTPが優れていた。
    【結論】急性期疾患と慢性期疾患を対象としたRTPの測定は、ALBの変動に比較して鋭敏に栄養状態を反映していることが示唆された。今後、様々な疾患の栄養療法の効果判定において、NSTを中心にRTPをモニタリングに用いることで質の高い栄養療法の展開が期待される。
  • 大塚 百香, 川口 巧, 田中 芳明, 佐田 通夫, 田中 粹子
    2009 年 24 巻 4 号 p. 949-954
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/10
    ジャーナル フリー
    【目的】インスリン抵抗性およびアンモニア代謝異常は、慢性肝疾患患者の病期進展に関与する。ANOM®は、糖・アンモニア代謝改善に有効な栄養素を含んだ濃厚流動食である。本研究では、慢性肝疾患患者におけるANOM®のインスリン抵抗性およびアンモニア代謝異常に対する有効性を検討した。
    【対象及び方法】C型慢性肝疾患患者8名に就寝前補食としてANOM®を3ヶ月間連日投与した。投与前後の食事摂取量、体組成および血液生化学検査を比較検討した。
    【結果】ANOM®投与前後で、食事摂取量、体組成、血糖値、ヘモグロビンA1C値、インスリン値、HOMA-IR値に有意な変化は認めなかった。しかし、ANOM®投与後のアンモニア値は、投与前と比較して、有意な低下を認めた(p=0.018)。
    【結論】ANOM®投与により、C型慢性肝疾患患者におけるインスリン抵抗性は改善を認めなかったが、アンモニア代謝は有意に改善した。
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