静脈経腸栄養
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特集:輸液フィルターの意義を考える
感染予防を目的とした輸液フィルター使用の意義
―微生物除去能からの検討―
井上 善文
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2009 年 24 巻 6 号 p. 1163-1167

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抄録
インラインフィルターを、感染予防目的に使用すべきかについての議論がある。0.2μmのフィルターも仮性菌糸を伸ばして増殖するCandida albicans の貫通を阻止できないという報告がある。これらの問題に対し、臨床をシミュレートした実験を行った。その結果、流入側が孔径の大きな多孔質層、流出側が孔径の小さい緻密層から構成された非対称膜から成るフィルターではCandida albicans の通過を阻止できないことを証明した。さらに、対称膜から成るフィルターは7日間、Candida albicans だけでなく、細菌の貫通も阻止できることを証明した。アミノ酸を含むTPN輸液が微生物増殖の良好な培地であることは明らかである。完全な輸液の無菌調製ができていない場合には、感染予防を目的としたインラインフィルターを使用することが、理論的にも適正な管理方法であると思われる。
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© 2009 日本静脈経腸栄養学会
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